「清々と」(1) |
少女漫画ばかりも何なので、そろそろ少年誌や青年誌からの漫画を…と思っていたのですが、
大好きな谷川史子先生が画業30周年を記念して原画展をされるそうなので、
今回は谷川先生の漫画『清々と(さやさや)』です。
ともだちに借りた「りぼん」から始まり、「マーガレット」「コーラス」「Cookie」と、
少女漫画は集英社系を主に読み進めてきたので、谷川先生の漫画はがっつり読んでいますが、
最初に読んだ漫画は何だったか……「きみの夏にとびたい」(『花いちもんめ』に収録)かな。
少女漫画にしては目が大きすぎなかったり、目の中のキラキラ度が少なかったり、
わりとあっさりした線なのですが、とにかく絵が可愛い!のです。
以前、羽海野チカ先生が「可愛い線というのが存在するので、その線を探して描くと絵が可愛く
描ける」というようなことを話していましたが、谷川先生の線も多分そうなんです。
顔の輪郭とか線だけでも可愛い! 可愛い線で描かれているので、シンプルなのに可愛い絵なのでしょう。
『清々と』は、本屋さんで水色の表紙と笑顔の女の子がパッと目に飛び込んできたので、
手に取ったのが最初です。オムニバス形式で漫画を描かれることの多い作家さんですので、
一話ずつの完成度が高く一話だけ読んでも満足できます。全体のお話はちょっとずつ進んでゆき、
掲載ものんびり進んで行く連載だったようで、まとめて読んだのは電書で谷川先生の漫画を
一気買いした最近のことです。
鈴蘭女学院という中高エスカレーターの名門女子校が舞台のお話で、
田中 清(たなか さや)ちゃんという、高校から鈴蘭に入ったコが主人公ですが、
周りの先生やクラスメイトたちにもスポットライトが当たります。
校長先生の若かりし頃のエピソードもあったりして、ちょっとずつ主人公や周りのキャラに
肉付けがされてゆき、回を重ねるごとにキャラクターたちの魅力が増していきます。
学生生活の中でほんのり抱いた恋心が、どんどん大きくなってきて、
将来のことなども決めなきゃいけない時期で、清ちゃんは大いに迷います。
読者はその等身大の悩みに共感し、周りのひとたちの思いやりや愛に涙し、
清ちゃんの高校三年間を見守ることになります。
という、今では古き良き時代の女子高校生と言ってしまって良いくらいのお話ですが、
実は連載されていた雑誌はヤングキングアワーズという男性向けの青年誌。
これぞ少女漫画!と思って選んだのですが、実は最初に考えていた「男性誌から」という
条件にもぴったりでした。
絵も可愛いし、谷川先生の愛溢れるキャラクターたちも愛らしいし、
私には大満足ですが、結構乙女というか、ザッツ少女漫画でしたけれど、
男性読者にはどう受け止められていたのでしょうか。ファンタジーっぽい感じでしょうか。
ぜひ、『清々と』を読んだ男性の感想をお待ちしております。
とにかくゴールデンウイークに始まる画業30周年記念の原画展が楽しみだ、
ということで、谷川史子先生の漫画をオススメします!
「谷川史子原画展」
開催期間:2017年5月4日(木・祝)~5月10日(水)
時間:12:00~18:00(最終日は17:00まで)
会場:リベストギャラリー 創
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-1-19
公式サイト:http://www.libestgallery.jp/tanigawa/30anniv.html
推薦者 Nakamura aya |
ギャラリーカフェオーナー 大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもしながら、趣味で愛猫ナロの姿を撮り続ける自称〈ナログラファー〉。最近増えた猫家族えんにもメロメロ。著書に、ブログ「あすナロにっき」をまとめたフォトエッセイ集『あすナロにっき』『あすナロびより』、幻冬舎の文芸誌「GINGER L。」で連載した猫エッセイ『tサンとナロ』。 |