「リブラブlivelove」(1) |
小田ゆうあ氏の描く大人はカッコいい。大人と言われる年齢になっても,子どもができても,失敗し悩み惑う。
だけど背筋を伸ばして凛と生きていこうとする。
そんな姿に感動する。ドラマ化もされた代表作『斉藤さん』『ふれなばおちん』を読んでてそう思って来た。
しかし,本作の主人公,水上素直(25歳)は全然カッコよくない。
成績優秀で難関大学を卒業し,エリート街道を歩めるかと思いきや,
生来のコミュ障が災いして恋も人間関係もこじれ,仕事のトラブルが引き金となって地方の職場に飛ばされてしまった。
「ここはあたしの居場所じゃない」とつぶやく彼女はいつも不機嫌で職場にも溶け込まず,融通のきかない接客態度で常連客を怒らせる。
注意されればプライドが傷つき素直に反省できなくて悪態をつくし,同僚の陰口にふてくされて職場放棄までする。
かといって,彼女は孤高を潔しとしているわけでもない。
友達も欲しいし,職場の人間関係もうまくやりたいと思っている。
「今度こそうまくやりたい」と自分なりに頑張っているつもりなのだけど,空回りするばかり。
遂には,職場放棄の最中に隠れて吸ったタバコが原因でボヤ騒ぎまで引き起こしてしまう。
自分の非を謝りきれず逆切れする彼女を,パートタイマー主婦の大河内が職場のみんなの前でビンタと共に叱責してしまう。
そんなこじれにこじれてしまった素直が人生に絶望し,橋の欄干に立って身投げしようとするシーンから本作は始まる。
そして,パートタイマー主婦の3人組が,彼女の自殺しようとするのを目撃するところで連載第一回は終わる。
全くもって救いようの無いスタートだ。
読者の希望的観測として,なんとか主婦3人が彼女に駆け寄り,すんでのところで自殺を食い止めるのか(いや,普通そうでしょ)と思いきや……
二回目の冒頭は素直の葬式シーンが描かれる。
「ええ〜〜っ!マジか?!」
連載早々に度肝を抜かれたのもつかの間,
ここから主人公の素直25才,そして大食漢の高校球児を抱える大河内(40代),荒れ気味の浪人生の息子がいる五条(50代),絶賛任活中の円山(30代)の仲良し主婦パートタイマー3人組をめぐるドラマが始まっていく。
この,20代,30代,40代,50代と旨い具合にラインナップをそろえるあたりが何とも心ニクイところだ。
そう,素直は幽霊となって3人の目の前に現れるのだ。
自分が幽霊となって現世をさまようことになったことに戸惑い,自殺したことを悔いた素直も,だんだんと幽霊生活(?)に馴染んで行く。
そして次第に自分をいじめた元同僚たちを懲らしめてやりたいという黒い気持ちが徐々に湧きあがり「うらめしや計画」を考え付く。
そんな素直に戸惑う主婦3人組。
しかし,主婦業をそつなくこなしているように見える彼女たちにも,単身赴任する夫の浮気疑惑,不妊治療の疲れ……実は黒い部分を抱えていることを自覚し始める。
はたして,素直は短かった人生の悔いに決着をつけて成仏するのか。
はたまた,時間が戻ってやり直せるなんて展開もあるのか(ないか?)
30代,40代,50代のそれぞれの女性たちも望むと望まざるに関わらず,いずれは人生の終焉を迎えるのだが,彼女たちは自身の黒い部分とどう折り合いをつけて生を全うしていくのか
目下月刊officeYOUにて絶賛連載中の本作。
是非是非,コミックスで追いかけつつ,連載作品もお手に取って,ライブ感を楽しんでいただきたい秀作です。
*2017年8月15日現在:月刊officeYOUにて連載中。コッミクス第1巻販売中。8月25日第2巻発売予定。
推薦者 Kobayashi miyako |
教育&映画プロデューサー 漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画制作にも関わる。 |
宮崎さん、こんにちは。筆者の小林美也子です。
コメントありがとうございます。リブラブ、泣けるシーンもあり、幽霊になってしまった素直と共に生きることの大切さを学んでいけました。
確かに、実写化すると良いかもですね!
若くて自死してしまう人が後を絶たない今、素直な生き様ならぬ幽霊様?を見て、やっぱり生きてないと後悔するんだ。と感じてもらえるかもしれませんね。
これからも面白い漫画、実写化されたものも含めご紹介していきますね!
今後も宜しくお願い致します。