「BANANA FISH 1」 |
カッコイイ男たち(とそうでもない男たちと)の闘い、ベトナム戦争やマフィア、政治も絡むお話、
というと、ハリウッドの映画とか漫画は男性誌で連載ならありそうですが、こちらは少女漫画です。
いわゆる惚れた腫れたの少女漫画も好きなのですが、なかなか男性にはオススメしにくいもの。
30年以上前に描かれた作品ですが、この漫画は今読んでもカッコイイので男性にもオススメしたい。
というか男女問わず読んでください!
作者の吉田秋生さんは、最近では映画化もされた『海街Diary』が有名ですが、
他にも映像化されている作品が多い作家さんだなという印象があります。
『吉祥天女』とか『櫻の園』とかも、ご存知の方が多いかもしれません。
『BANANA FISH』も舞台化されていたようです。観たかったなぁ。
吉田秋生さんの漫画では、登場人物の生い立ちや背景が、
すごく丁寧に描かれているので、役が作りやすいのかもしれません。
でてくるキャラに共感しやすいのも、きちんとキャラが立っているから。
どんなに悪いキャラ(主人公にとっては、という場合もありますが)でも、
その言動に「あー、なんか分かる」って思わされてしまうんです。
あと、『海街Diary』でも鎌倉の風景がとってもステキで、お話に合っていますが、
描きたいお話に合わせた選ぶ土地がピッタリなんですよね。
『BANANA FISH』の舞台は、ニューヨークです。
カッコイイ話ですから、当然ニューヨークです(※独断と偏見です)。
主人公はダウンタウンのストリートキッズを束ねるアッシュ、
それと日本から取材に来てアッシュと出会う英二です。
ふたりの友情……絆がメインテーマです。
少女漫画で男子二人が主役となると、「ふたりは恋仲に……?」なんて
あらぬ妄想をしてしまいますが、この二人は違います。「それ以上」なんです。
生まれも育ちもまったく違うふたりの、魂が共鳴したような……。
ふたりが一緒にいたいと思うことで、さまざまな問題や事件も出てきてしまい、
結局アッシュと英二にはあっという間に別れの時が来てしまいます。
その、ほんの短い間だけでも彼らが一緒に過ごせた宝物のような時を見てほしいのです。
コルシカマフィア、チャイニーズマフィア、それに属すストリートキッズのグループ、
軍人や政治家、研究者などさまざまなヒトが出てきます。
いちばんカッコイイのは、やはりアッシュかなと思いますが、他にも魅力的なキャラクターがたっぷり。
英二も闘うとすっごく弱いのですが、気持ちの強さはトップクラスです。
私がいちばん好きなのは、シン・スウ・リン。
チャイニーズ系ストリートキッズのボスであったショーターが殺されて、それを引き継いだコです。
強いし統率力もあるのに、小ちゃくて可愛いのです。
実は、シンはその後の吉田秋生さんの作品『YASHA-夜叉-』『イヴの眠り』にも出てきます。
そのシンも(ちょっとデカくなってますが)相変わらず可愛くてカッコイイのでぜひ読んでください。
あ、本編を全部読んだ方は、単行本最終巻(文庫版だと『Banana fish another story』)に
収録されている「光の庭」もぜひぜひ合わせてお読みください。
ここまで読んで『BANANA FISH』は読書完了です。ちょっとデカくなったシンも見られますよ。
少女漫画だけど、ラブ要素ほぼなしでカッコイイ漫画、おすすめです。
推薦者 Nakamura aya |
ギャラリーカフェオーナー 大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもしながら、趣味で愛猫ナロの姿を撮り続ける自称〈ナログラファー〉。最近増えた猫家族えんにもメロメロ。著書に、ブログ「あすナロにっき」をまとめたフォトエッセイ集『あすナロにっき』『あすナロびより』、幻冬舎の文芸誌「GINGER L。」で連載した猫エッセイ『tサンとナロ』。 |
あー、ほんとに、素晴らしいですよね!取り上げてくれてありがとうございます!
私は、読んだ後、しばらくアッシュのいる世界から抜け出せなくなり、普通の生活の中でNYという言葉を見るだけで涙が出てくるという状態になりました。それくらい力のある作品だと思います。