「ほんの恋など」カワカミコマ

ほんの恋など

「ほんの恋など」(1)
カワカミコマ/マッグガーデン(ウェブコミックマガジンEDEN)

私事ですが、最近マンガは電子書籍で読んでいます。

電子化されていないもの、紙と同時発売でないもの以外はほとんどです。

買うマンガを選ぶときは、新刊や、昔持っていたけれど処分してしまった

作品の買い直しが多いのですが、「1巻無料」などのコーナーでも探します。

自分の気に入っている作家さんやジャンルだけじゃなくて、

新旧いろいろなマンガが並んでいるので、とにかくどんどん読んでみます。

そうすると、思いがけず気に入った作品に出会えることがあるのです。

今回オススメする『ほんの恋など』も、そうやって出会ったマンガのひとつです。

もともと『バクマン』や『重版出来!』など出版業界を描くマンガが好きで、

このマンガも豊島出版という出版社で働く小山果絵(かえ)さんが主人公です。

1巻を試し読みしてみたら、続きも気になるし、全3巻だし、

と軽い気持ちで買ってみたのですが、コレがかなり良かった!のです。

今では何度も読み返すお気に入りの作品のひとつです。

週刊誌から文芸誌を作る部署に異動した小山さんが担当するのが、

悲恋小説のベストセラー作家で、現在スランプ中の田村健介先生。

田村先生がスランプから抜け出す手助けをするよう指示された小山さんですが、

先生の書く小説も、本人も苦手なようで、いきなり苦境に立たされてしまいます。

実は小山さんはバリバリ男社会の週刊誌の部署にいたにもかかわらず、

男性恐怖症です。本人は〝男性張り倒し病〟と言っていますが、

男性に触られたり一定距離に近づかれると体が逃げてしまったり

カバンなどで殴ってしまったり……というやっかいな体質なのです。

どうもその原因が大学時代にあり、それも田村先生の代表作『道化の恋』が

大いに関係があるようで……?

田村先生はスランプから抜け出せるのか、小山さんの男性恐怖症は治るのか。

そして「恋」です! タイトルにもなっていますから、かなりのキーワードです。

このふたりが「恋」を取り戻せるのか、というところが見どころです。

小山さんの前部署の上司、現部署の上司、同僚など脇を固める人々も

クセはあるけれど良い人ばかりで、良い役者さんが揃っている感じです。

ドラマになったら面白そうと勝手に配役を考えて楽しんでいます。

とにかくまっすぐで純粋な小山さんがかわいくて仕方ないですし、

田村先生はかっこいいのにヘタレで鈍くて愛おしくなりますし、

たまたま出会えたこの恋のお話、オススメです。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもしながら、趣味で愛猫ナロの姿を撮り続ける自称〈ナログラファー〉。最近増えた猫家族えんにもメロメロ。著書に、ブログ「あすナロにっき」をまとめたフォトエッセイ集『あすナロにっき』『あすナロびより』、幻冬舎の文芸誌「GINGER L。」で連載した猫エッセイ『tサンとナロ』。