「SLUM DUNK-スラムダンク」井上雄彦

〜バスケットはお好きですか…?〜

スラムダンク

「SLUM DUNK-スラムダンク」(1)
井上雄彦/集英社(ジャンプ・コミックス)

バスケットはお好きですか?

好き、と答えたあなたはすでに読んでいるかもしれませんね。

いいですよね、スラダン。

別に…と答えたあなた、スラムダンクを読むと好きになるかもしれませんよ?

主人公の桜木花道が、憧れの晴子ちゃんに振り向いてもらおうと始めたバスケット。

中学時代まではなかなかの不良少年で名を馳せていた花道くんは、バスケのことは何も知らないどシロウトなのですが、188センチの長身とケンカで鍛えた身体能力でその才能を開花していきます。

バスケに詳しくなくても、花道くんと一緒に学んでいける楽しさがあります。

ずっと不良少年だった花道くんは、高校に入ってもそのしがらみでケンカには巻き込まれ、

素行不良でバスケ部のキャプテンに入部を断られたり……最初はヤンキー漫画なのかな?

って思うほどなのです。絵柄もコメディタッチが多めで、のちにあんな本格派バスケ漫画になるなんて予想できないほどです。

暴力事件で入院していた「リョーちん」こと宮城リョータがバスケ部に戻り、その事件の元凶でもあった「ミッチー」こと三井寿も復帰する8巻(単行本で)くらいまでは、バスケと不良が半々くらいの印象です。

実は私が一番好きな巻は、その8巻。 

「あきらめたらそこで試合終了だよ」という安西先生の名言が初めて出るし、ミッチーの「安西先生!……バスケがしたいです……」の名ゼリフなどもありますが、

何より不良パートで一番好きなキャラ、水戸洋平くんが大活躍するからです。

洋平くんは花道くんの親友で、中学からの不良仲間のひとりです。

普段はヘラヘラしていますが、花道くんのために暴力事件の責任をかぶる男気があり、どんどんバスケに夢中になっていく花道くんの良き理解者です。

練習や特訓にも付き合ってくれたり、花道くんには及びませんがケンカもそうとう強いし……

序盤は洋平くんのカッコよさを見るために読んでいただいても良いといってもいいくらいです。

……というのは過言でしょうが、魅力的なキャラクターが多いのもスラダンのいいところ。

同じバスケ部のライバル流川くんやキャプテン赤木先輩、メガネ君こと木暮先輩など、出てくるキャラクターがみんなカッコイイのです。

試合で闘った相手の高校にも魅力的なキャラクターがたくさんいます。

敵のチームとひとくくりにできず、むしろ相手のチームのキャラクターに感情移入してしまう場面も出てくるほどです。

スラムダンクを読んだ方にはぜひ聞いてみたい質問があります。

どのキャラクターがお好きですか?

バスケットだけじゃない、人が面白いマンガ、オススメです。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもしながら、趣味で愛猫ナロの姿を撮り続ける自称〈ナログラファー〉。最近増えた猫家族えんにもメロメロ。著書に、ブログ「あすナロにっき」をまとめたフォトエッセイ集『あすナロにっき』『あすナロびより』、幻冬舎の文芸誌「GINGER L。」で連載した猫エッセイ『tサンとナロ』。