「紅のメリーポピンズ」高口里純

紅のメリーポピンズicon

「紅のメリーポピンズ」(1)
高口里純/双葉社(ジュールコミックス)<全4巻>

『花のあすか組!』の作者さんによるナニーの漫画です。

ナニーというのは、ベビー・シッターよりも教育的ケアをする人だそうですが、

日本ではあまり馴染みがないですね。タイトルにも使われている

有名なミュージカル映画(およびその原作本)のメリーポピンズをご存知なら、

乳幼児から対応できる家庭教師といったら分かりやすいかもしれません。

イギリスにある(実在するようです)ナニー専門学校卒のスーパーナニー、

吏糸双葉(りいと ふたば)さんが主人公です。

某国のお姫さまやマフィアの子どもなどのお世話してきた日系英国人ですが、

とあることで国際指名手配され、日本に逃げてきています。

基本的には一話完結のお話で、一話につき一家族を取り上げます。

お世話になった家族に次の家族を紹介していただいたりして、

警察に追われながらなので、各家庭を転々としていきます。

映画のメリーポピンズは魔法を使って子供たちを幸せにしました。

こちらのメリーポピンズ、双葉さんは魔法は使えないのに、

親御さんにとっては、それこそ魔法を使ってくれたかのように

さまざまな子供たちの問題を解決してくれます。

それは、双葉さんが子供たちのことを第一に考えるけれど、

その次に子供たちの周りにいる大人たちのことを考えてくれているから。

子供たちの問題を親のせいとバッサリ断罪するのではなく、

時に厳しいことも言いますが、ちょっと考え方を変える助言をしてくれたり、

大人側にも優しい視線を持っているからでしょうか。

私は双葉さんが問題をサクサク解決するのを楽しめましたが

実際に子育てをしている方だと読み方も変わってきて、

いろいろ突っ込みたくなる所もあるのかもしれませんね。

穏やかで常に冷静、ちょっと丁寧すぎる口調が面白く、

「教育は環境ではございません、人ですわ」が決め台詞の

双葉さんに出会ってみたいなー、と思わせる漫画です。

さらに双葉さんが出会ったある家族が主役になったお話が現在連載中です。

その『グランマの憂鬱』にも少し双葉さんが出てきますので、そちらもオススメです。

<全4巻>

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもやってます。幻冬舎プラスで連載していた、お店をオープンするまでの連載が電子書籍『お店、はじめました。~40歳未経験のカフェオープン~』になりました。