誰もが完璧と信じて疑わない幸せな生活に疑問を抱いた時,それをぶち壊す勇気はありますか?
「ドント・ウォーリー・ダーリン」原題: Don’t Worry Darling |
【街(ビクトリー)のルール】
夫は働き,妻は専業主婦でなければならない
パーティーには夫婦で参加しなければならない
夫の仕事内容を聞いてはいけない
何があっても街から勝手にでてはいけない
誰もが憧れる,愛する人との幸せで平穏な生活が保証された理想の街ビクトリー。
完璧な生活が保証された街で,アリスは愛する夫ジャックと平穏な日々を送っていた。
そんなある日,隣人が赤い服の男達に連れ去られるのを目撃する。
それ以降,彼女の周りで頻繁に不気味な出来事が起きるようになる。
次第に精神が乱れ,周囲からもおかしくなったと心配されるアリスは,完璧だと思っていた“街”に疑問を持ち始めるー。
主人公・アリスを演じるのは『ミッドサマー』など数々の作品で存在感を見せるフローレンス・ピュー。
アリスの夫・ジャックを演じるのはイギリスのボーイズグループ〈ワン・ダイレクション〉のメンバーにして『ダンケルク』で俳優として高い評価を受けたハリー・スタイルズ。
さらに,不気味な存在感で完璧な街の支配者として君臨するフランクを演じるクリス・パイン,『エターナルズ』のジェンマ・チャン。
さらにさらに,アリスの隣人であり親友を演じるのは監督でもあるアリビア・ワイルド。
本稿がアップされた時点で既に公開されている作品ですし,予告編を見て期待をされている方も多いかもしれません。
ですが,個人的には,今年観た映画の中でイチオシかもと思えるほどの秀作で,映画好きならもちろん,そうでなくとも超絶オススメなのであえて選びました。
才色兼備が服着て歩いているような,本作が長編2作目の若きオリビア・ワイルドの才能!
50年代のパームスプリングス。だけど,現代?
ロケーション,音楽,美術,ヘアメイク,衣装,カメラワーク,周到に準備され,入念に計算された脚本。
もう,あまりの凄さに嫉妬を通り越して敬服……。
20世紀中盤の音楽とファッション,メイク,建物,車と豪華なビジュアルにあふれた画面,ラブストーリーでありながら,幸せとは何かを問う哲学,夢と現実の概念(ヒロインの名前がアリスって!),なのにサスペンスでありミステリー。
伏線の回収の仕方がこれまた超絶見事で,泣きたくなるほど。
多くを語るのは野暮というもの。
公開中の今,映画館へ!