「変身人間ちえ」田斐冬雪

親の庇護なしに生きられない歪なローティーン。とんでもない出来事が彼らを変えていく―――

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「変身人間ちえ」
田斐冬雪/講談社

第9回「月刊少年マガジンコミック大賞」にて受賞&デビューした甲斐冬雪氏。

2月14日にサービスが始まったばかりの月刊少年マガジンの新WEBサイト「月マガ基地」にて初の連載開始したのが本作。

とある中学にある学力上位5位以内の生徒5人だけを集めた特別教室。

ここ最近は順位の変動なく固定の5人で独占状態。

泥曰さん:入学以来学年首位以外とったことがない超美少女。誰ともつるまず,勉強に関係のない学校行事には一切参加しないクールビューティ。

静田さん:泥曰さんに次いで成績2番手。2位以外取ったこと無し。

八乙女くん:実家がかなりの資産家。学校イチの御曹司。

向さん:入学当時は普通クラスだったが,成績を上げ特別クラスに仲間入りしてから5番以内を死守。

そして,

本作の主人公・根伴くん:特別教室に編入されるほどには優秀。勉強以外に興味を示さない特別クラスの中で,なんとかコミュニケーションを図りたいと悶々と過ごしている。ある種普通の中学生ではあるが,特別教室では異色の存在。

そんなある日,「みたこともない化け物がいたんです!!」と訴える生徒が現れるが,教師を始め誰も本気にはしない。

根伴くんは「化け物か……そんなのがいたら日常がいっぺんするんだろうな。

みんなで協力しあったり,団結したりするんだろうな」と思いを馳せていると…

なんと,特別教室にその「化け物」が現れた!

おどろおどろしい様相の「化け物」だが,よ~く見ると制服を着ている。

そう。

先ほど紹介した特別教室の5人の一人が「化け物」に変化したのだ。

さて,だれでしょうか?

1番優等生。

1番孤高を保って勉強一筋。

の,泥曰さん。

さすがは知能指数高めの5人。

化け物に変身してしまった泥曰さんを目の当たりにしても,驚きはするものの,慌てず騒がず,原因と戻る方法,当面の対策を考える。

「化け物」に変身した泥曰さん。すげぇビジュアルですが,だんだん可愛くなってくるから不思議。

©︎「変身人間ちえ」田斐冬雪

連載開始早々に,原因は強度のストレスらしく,「根伴くんと24秒抱き合うと30分間だけ元の姿に戻れる」ことが判明してくる(速!)。

ただ,待てよ。

根伴くんは疑問を持つ。

泥曰さんは,なぜこんな姿のまま危険を冒して家から学校まで来たのか?

しかも,家には帰りたくないと言い張るのはなぜか?

ここから,泥曰さんの親は,勉強ができない彼女に全くの価値を見出さない「毒親」で,彼女もそんな日々に違和感を抱きつつも,反抗できないでいたことが判明してくる。

なんだかんだで,彼女を自宅に匿うことになった根伴くん。

勉強の妨げになるとかなんとか言いつつも,少しずつ協力する特別教室の面々。

10代前半。

心も身体も大人になりつつあるけど,中学生は親の庇護なしには社会的には何もできない。

自身も大人から与えられた価値観に囚われる。

周りの大人が物分かりのいい大人ばかりとは限らない。

そんな彼らが,同級生が「化け物」に変身してしまう珍事を目の当たりに,密かに,かつ大胆に日常を過ごしていく日々がどうなるのか?

連載3回目にして,「これはすごい才能をみつけたかも!」とワクワクが止まらぬ筆者です。

コミックデイズにて無料配信中。

https://comic-days.com/episode/4855956445093958181

ぜひお試しを!

推薦者
小林美也子

Kobayashi miyako

教育&映画・演劇プロデューサー

漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画・舞台制作にも関わる。