「我らコンタクティ」森田るい

〜日常とロマンと人間関係とロケット〜

我らコンタクティ

「我らコンタクティ」
森田るい/講談社

ついこないだ”マンガ大賞2018”にノミネートされていた旬な作品なのでご存知の方も多いとは思いますが(ぼくもそれで知りました)、ちょうど良いタイミングでここの順番が回って来たので読後のホカホカな気持ちを届けたいと思います。

ホントはヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜のことを書こうと思ってたんですけどね。

主人公は会社に疲れてもう辞めたいって思ってるOLのカナエちゃん。

幼なじみのかずきと小学校以来の再開をしたときからちょっとずつ日常が変わっていきます。

かずきは毎日鉄工所で働いたあとコツコツたったひとりで宇宙へ飛ばすためのロケットをつくりつづけてるんですが、その目的はなんとヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜すること。

登場人物はほんの数人、舞台もほとんど鉄工所の周辺というお茶の間ドラマ的な設定なんですが、最後までずっとどこか雄大さを感じるのはロケットの存在、そしてまったくブレずに夢を貫かんとするかずきの強さからなんでしょうね。

出て来たときは顔長すぎの変なキャラだなぁ(失礼)って思ってたのにだんだんカッコよく見えてくるんですよ、かずき。

とくにクライマックスのヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜のときにカナエちゃんにヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜するときなんて、もう涙がじわりましたよ。

そしてカナエちゃんがかわいい。

やはり最初はあまり魅力を感じなかったキャラなのに、いつしか登場する一コマ一コマをじっくり眺めるくらい好きになりました。

かずきをヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜するために取り乱しちゃうときもよかったなぁ。

ひとは第一印象が大事ってよく聞きますが、いえいえ、何を考えどう行動するのかでどんどん印象は変えられるんですよね。

このお話の中に出てくるひとたちも、そうやってお互いの認識を変えながら良い関係を築いていきます。

最後のヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜が描かれたコマを見たとき、あぁ良い映画を観たなぁっていう気分になりました。

しばらく席を立たずにエンドロールを眺めていたかったです。

全一巻というのもちょうど映画一本分くらいのボリューム感じゃないでしょうか。

ヒュ〜イ〜ヒュ〜イ〜が気になったら、ぜひ読んでみてください <´ `

推薦者
たかしまてつを

Takashima tetuo

画家/イラストレーター。「おくらのあな」で「あそばか」連載中。

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