「華中華(ハナ・チャイナ)」原作:西ゆうじ・作画:ひきの真二

〜今日のごはんは、モチのロン、アレで決まりですよ!〜

「華中華(ハナ・チャイナ)」(1)
原作:西ゆうじ・作画:ひきの真二/小学館(ビックコミックス)

食欲の秋、漫画の世界にも数多くの料理・グルメ漫画がありますね。

王道バトルものや家庭料理のレシピ紹介、一つのお店を切り盛りしていくタイプや

時代を遡ったり異世界のグルメなどなど……今は内容もずいぶん細分化されているようです。

今回のオススメもかなりピンポイントなグルメ漫画です。

ただ、今回オススメする『華中華』は、未完の作品。

連載中に原作者の西先生がお亡くなりになったために、

お話としては途中で終わってしまっています。

読者としては、こんな(ハッピー)エンドだろうな、と想像しながら

毎回紹介される一品にお腹を鳴らしながら読みましょう。

『華中華』の主人公は、横浜中華街にあるお店「満点大飯店」の見習い料理人の

ハナちゃんこと中村華子ちゃん。中華街でも屈指の大店である満点大飯店で

一流の料理を学びながら、楊貴妃の幽霊(!)と出会ったことが縁で、

やはり中華街にあるアットホームなお店「上海亭」でチャーハンを作ることになります。

そう、この漫画の主役はチャーハンです。

肩を壊して中華鍋が振れなくなった上海亭のご主人に代わり、

ランチタイムにチャーハンだけを作ることになったハナちゃん。

ハナちゃんが楊貴妃さんに教わったように、チャーハンの種類は星の数ほどあるそうです。

限られた時間と予算(上海亭のチャーハンは一皿500円→300円です)の中で、

ハナちゃんはチャーハンの可能性に挑み、一人前の料理人を目指すのです。

全19巻、153話の中で、だいたい一話につき一品のチャーハンが登場していますので、

すごい種類のチャーハンを考えてますよね。それだけでもすごい!となります。

しかもどれも美味しそうなので、毎回お腹がすいてきて大変です。

300円を握りしめて上海亭に並びたくなります。

いろいろな人との出会いでどんどん成長していくハナちゃん。

ステキな旦那さまとも出会ったりして、一人前の料理人になった姿は

見られませんでしたが、常に前向きで心根の優しいハナちゃんの話は、

いつ読んでも心がホワーッと温かくなります。

そして、当然のことですがチャーハンが食べたくなります!

私が一番食べたいと思ったチャーハンは、グリンピースとホタテのチャーハン、かな。

毎回レシピが付いているので(一巻のみ巻末にまとめて掲載)

それを参考に自分で作ろうか、中華街に食べに行ってしまおうか、悩みます。

きっとチャーハンが食べたくなるマンガ、オススメです!

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもしながら、趣味で愛猫ナロの姿を撮り続ける自称〈ナログラファー〉。最近増えた猫家族えんにもメロメロ。著書に、ブログ「あすナロにっき」をまとめたフォトエッセイ集『あすナロにっき』『あすナロびより』、幻冬舎の文芸誌「GINGER L。」で連載した猫エッセイ『tサンとナロ』。