「大上さん、だだ漏れです。」吉田丸悠

〜触れると気持ちが読める、よりもこの能力は大変ですよ!〜

大上さん、だだ漏れです。icon

「大上さん、だだ漏れです。」(1)
吉田丸悠/講談社(アフタヌーンKC)

主人公の大上さんは、高校に入って二ヶ月経つのに、お友達ができないと悩む女子です。

それというのも、休み時間にはひとりで性に関する本を読み、いつもエロいことを妄想しているので、誰かと話していてうっかり変なことを口走ってしまうのを不安に思っているから。

思春期の男子に限らず、女子だって多かれ少なかれ性に興味を持ったり、エロいことを考えたりするでしょうが、他の人に確認する術もなく、そんな自分は変態だから人と付き合えないのだと落ち込んでいたのですが…。

同じくクラスでいつも一人でいる柳沼くんと縁があり、話すようになります。

柳沼くんにも一人でいる事情があり、それが「人に触ると、その人の本音を喋らせてしまう」という特異体質があるからなのでした。

触ると人の思考がわかる、とか、自分の思考が周りにバレバレ、とかそんなお話はいくつか思い当たりますが、これは新しい!と思ってグンとお話に引き込まれました。

そして、柳沼くんの特異体質が大上さんに分かってしまう場面、つまり大上さんが初めて「本音を言わされてしまう」場面がちょっと衝撃の面白さでして。

前日に借りたハンカチを返すという、なんとも少女漫画チックな流れなのに、言ってしまったセリフはそれか!それなのか、大上さんよ!(笑)

ともあれ、そんな体質でも友達がいないと寂しいよね、とお互いの友達第一号になって、友達付き合いの練習をすることに。

ちょいちょい柳沼くんに触れてしまい、出てくる本音がほぼエロいという大上さんが笑えますが、そんなふたりの周りに少しずつ集まってくるクラスメイトたち。

もちろん特異体質のことは隠しつつも、少しずつ周りに溶け込み始めるふたりはお互いのことを知り、思いやりながら少しずつ仲良くなります。

こんな自分は周りに迷惑をかけちゃうから、と思っていたふたりが、その優しさと性への興味で仲違いしたり仲直りしたりするのを見ていると、我が身の青春時代のアレコレを思い出し、穴があったら入りたくなったりするのも楽しみのひとつでしょうか。

2019年3月現在、連載中のこの漫画は、単行本は5巻まで出ています。

ライバルや両親など、ふたりが立ち向かう(?)相手がどんどん現れ、高校卒業後のふたりがどうなるのかも気になります。

いろいろ思い出して身悶えたりもするけれど、若いって良いな、と思う漫画、オススメです。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもやってます。幻冬舎プラスで連載していた、お店をオープンするまでの連載が電子書籍『お店、はじめました。~40歳未経験のカフェオープン~』になりました。