「きーちゃん先生の事情」丘上あい

〜異色の先生モノでは一番好きです!〜

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「きーちゃん先生の事情」(1)
丘上あい/講談社(KCデザート)<全8巻>

もともと教師とは無縁だった人が、ひょんなことから先生になって生徒たちとの絆を深めていく、という学園ものというと思い浮かぶ漫画はいくつかありますが、私はこれが一番好きな漫画です。

ナンバーワンキャバ嬢の希帆(きほ)は、上客の青田の頼みでとある私立高校で先生をやることになります。

ところが赴任した学校は先生も生徒もなんだかやる気がなくて……。

なかでも居場所を無くした生徒たちの集まる場となっていた「喜多苦部(きたくぶ)」の面々は特にクセのある子ばかり。

最初はなかなか生徒との距離を縮められない猪木田菊代(本名)こと「きーちゃん」ですが、喜多苦部の生徒と校内の何でも屋のようなことを始め、恋愛などの悩み相談を受けたり、それまで無かった学校行事、文化祭を開催するために全力で取り組みます。

「学校は楽しくないと」がモットーのきーちゃん先生は生徒たち一人ひとりと向き合って付き合っていきます。

彼らの悩みは恋愛や家庭など様々ですが、一つひとつ一緒に乗り越えていくたびに生徒たちと打ち解けていきます。

教師と生徒という立場に戸惑いながらも生徒たちを明るくドーンと受け止めようとするきーちゃん先生ですが、読み進めていくと彼女自身も彼らに負けない悩みというか傷を負っているのが分かってきて、きーちゃんが前を向いて進んでいくためにも、この学校に来た意味があったんだなぁと気づきます。

きーちゃん先生の傷、「そんな漫画みたいに重なる?」と思うくらい不幸が続いた結果のトラウマなのですが、大丈夫です、私が好きな漫画ですのでハッピーエンドで終わります。

きーちゃん先生と思い切り笑って泣いて、気持ちがあたたかくなる漫画をぜひ読んでください。

そうそう、この漫画の各回に付けられたサブタイトルは、一曲をのぞいて洋楽の曲名になっているんです。

それぞれがその回のイメージで付けられているので、BGMに流しながら聴いても面白いと思います。

ちなみに、唯一の邦楽がスピッツの「ロビンソン」なのも私がこの漫画を好きになった大きな要因かもしれません。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもやってます。幻冬舎プラスで連載していた、お店をオープンするまでの連載が電子書籍『お店、はじめました。~40歳未経験のカフェオープン~』になりました。