「マリーゴールド」深谷かほる

〜60歳になっても100キロになってもキャミ着てミニスカはいてオシャレするいいオンナに乾杯!〜

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「マリーゴールド」<全1巻>
深谷かほる/集英社(クイーンズコミックス)

3人姉妹の末っ子,河東カンナ25歳。デブス(デブでブス)でおバカは自覚の上だけど,自分のことを「めっちゃいい女でモテモテ」と信じて疑わない。

雇われデザイナーをしているだけあって,ヘアメイクとオシャレが大好き。

「あたしなんかひと目見りゃブスだってわかるし,ちょっとしゃべればバカだってわかるじゃん」という台詞とは裏腹に自信満々で,実際にモテます。

「あたし,割と男ローラクするテクには長けてるから,私のことも私の親のことも大事にしてくれる男と結婚するもーん」と親の老後の面倒係は自分が引き受けると,母親と姉2人にサラッと言うたくましさも。

この,どこから来るのかわからない自信に溢れた態度と,ズケズケとした物言いに,身内はカチンとくることもあり,姉妹喧嘩のタネになることも多々あります。

友人,知人,同僚にも時にはウザがられたり,傷つけてしまうこともあります。

ですが,スーパーポジティブで真っ直ぐな性格は憎めないを通り越して,ものすごくチャーミングなのです。

彼氏が親友に寝取られ,泥沼的に暗くなっている友人を「キレイにすりゃー女は生き返るさ!」と,チーフデザイナーの彼氏と一緒になって,リモデル・プロジェクトを立ち上げます。

2人の凄腕のおかげで,見事にキレイになり,明るくなった友人。

やったぜ!と思いきや……

なんと,今度は彼氏と友人が惹かれ合うことになってしまいます。

カンナに不義理をしたくない友人は

「彼のことは諦める。どんなに苦しくても」と言いうのですが……

さて,もし,あなたがカンナの立場だったら,この2人にどんな態度をとりますか?

カンナは言います。

「言ったでしょ!あたしは幸せになろうとしない女が一番嫌いだって。つきあいなさいよ!」

でも,姉の前では泣きます。

そして,「男と別れたら,ドレスアップすることにきめてんの」 新しい恋に向かって,街を闊歩して行きます。

年老いた両親の離婚,姉との喧嘩,失恋,憧れの先輩との別れ,父の病……

失敗したり,辛いことを経験するたびにカンナの魅力が発揮されます。

深谷かほる先生は,その都度,カンナの口を通して心に響く言葉を届けてくださいます。

ここまで読んでくださってお気づきになった方もいらっしゃると思いますが,本作の続編・続々編が『カンナさーん!』『カンナさーん! アラフォー編』です。

筆者は連載中から『カンナさーん!』の大ファンで,全作を読んだ後で,本作の存在に気がつきました。

カンナの両親や2人の姉との関係性や,ダメ男の誉れ高き?夫(元夫になっちゃいましたが)との出会いのきっかけも描かれています。

憂鬱なニュースの多い今日この頃,コミック1巻に凝縮された若きカンナの生き様と数々の名言に元気と勇気をもらってください。

最後に,筆者のお気に入りの台詞をもうひとつ。

「生きていれば手遅れなんて何もないと思わない?」

推薦者
小林美也子

Kobayashi miyako

教育&映画プロデューサー

漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画制作にも関わる。