「俺、つしま」おぷうのきょうだい

〜つしまをモフモフしたーい!〜

「俺、つしま」(1)<既刊3巻>
おぷうのきょうだい/小学館(アフタヌーンKC)

猫漫画です、Twitter発です、アニメ化も決まったそうです。

まずは主人公猫「つしま」の大物感あるビジュアルが目を引きます。

ツシマヤマネコに似ているということで名付けられたつしまがどーんと表紙に なっている本を書店で見かけたことがあるという方もいるのではないでしょうか。

Twitterは更新されるとTLに流れてくるのを読んでいましたが 単行本が3巻になった(2021年2月現在)のでまとめて読んでみました。

猫好きの人間(「おじいちゃん」と呼ばれる女性)が猫と暮らす、 「猫かわいい」「猫あるある」がベースではあるのですが、 まず人間のビジュアルが何か変で(笑)……

謎の生命体っぽく描かれています。

猫たちはけっこうリアルに描かれていますが、主線をペンで書いて、 模様などは色鉛筆で塗っていく塗り絵のようなスタイルも変わっています。

初期は特に絵日記風なのでコミックエッセイなのだと思っていました。

登場シーンでつしまが立って喋って人間と会話しているので、 だいぶ擬人化された感じになるのかと思いましたが、 猫と人間のコミュニケーションはわりと普通のようです。

普通に猫と人間がそれぞれ好き勝手に喋っていて でもなんとなく分かり合えるので会話は成り立っている、 という猫飼いにとっては「わかる!」という設定になっていました。

つしまの実写写真も載っているので、つしまは実在しているようです。

つしまの前の飼い主の話や、一緒に旅をしていた仲間の猫の話などは どこまでが創作なのか良く分からないところもありますが、 つしまのキャラがきちんとしているというか、キャラ立ちしているので こうやって生きてきたんだろうなと思わせる説得力があります。

そうなると、この漫画はやはりエッセイではなくフィクション、 物語だと思って読む方が楽しめると思います。

巻が進むにつれ、漫画としての完成度が上がっていくというか、 見せ方がどんどん上手く進化しているのがとても興味深かったです。

作者は兄妹で絵を担当されているのはお兄さんの方だそうで、 猫の絵は最初からとても上手だったのですが、それが構図なども洗練されていき、 猫もさらにどんどん上手くなっています。

あとは「おじいちゃん」ももう少し可愛くなればいいのになぁと思いますが(笑)

もちろん猫あるあるなので猫飼いには共感できるエピソードがいっぱいです。

ゴハンをもらいに来るよその猫たちとの交流も楽しいですし、 おじいちゃんの家にいる他の猫たち、特にずん姐さんの回は涙なしには読めません。

ちなみにウチにいる二匹の猫たちは、ずん姐さんとつしまにちょっと似てます。

つしまとウチのおじさん猫の体型がそっくり……いえ、ウチのコの方が足は長いですけど!

ちょっと更新が途絶えることもありますが、つしまの元気な姿をTwitterで見かけることが できると良い日だなと思います。

アニメにもなるそうで、それも楽しみにしています。

ハラマキして今日ものんびりどっしり生きているつしまの漫画、オススメです。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもやってます。幻冬舎プラスで連載していた、お店をオープンするまでの連載が電子書籍『お店、はじめました。~40歳未経験のカフェオープン~』になりました。