「噂のマカオで女磨き!」花津ハナヨ

「女磨き」のタイトルにはいい意味での偽りあり!男女問わず思わずマカオへ行きたくなる旅エッセイ

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「噂のマカオで女磨き!」
花津ハナヨ/文藝春秋

オミクロンの嵐吹き荒れる2022年1月現在。

相変わらず,どっこにも遠出していません。

国内外問わず。

んなわけで,ここ最近,旅・海外滞在がらみの漫画を読み漁っていますが,パリやらニューヨークで,人種,日本人社会,アパート,食生活やカフェのこと……生活ぶりを紹介してくれるのには,正直お腹いっぱいな感の作品が多く,せっかく購入したにもかかわらず,途中で放り出した作品もちらほらです。

そんな中,目を引いたのが本書です。

30代半ばを目前に,ようやく現れた結婚願望→婚活資金必要→一攫千金狙い→カジノで荒稼ぎ→マカオへ。

とまあ,やや強引な因果の流れで,マーライオンのイメージしか浮かばない(シンガポールですよねw)作者が,マカオ通のライターと巡る6日間のマカオ取材旅行記です。

日本でのカジノマナーの予習。

ラスベガスとは全く違ったカジュアルなマカオのカジノ(日本人にとってのパチンコ?)紹介。
世田谷区の半分ほどの面積しかない小さな島にある30もの世界遺産。

中国の特別行政区のひとつでありながら,450年ものポルトガル支配の影響から西洋と東洋が共存する美しくも不思議な街並み。

女性が夜の一人歩きもできるほどの治安が良いにも関わらず,男子の一人歩きが危険?
隠微なのかオープンなのか,不可解な男性用サウナの秘密。

世界最高級のハイテクなバンジージャンプとスカイウォーク(ハーネスをつけて地上233mを散歩する)。

エステ,グルメ,占い,寺院,お土産……。

婚活資金稼ぎが目的でスタートしたカジノの紹介に終わらず,マカオの魅力をたった125ページほどでコンパクトにまとめながらも過不足なく捉えている構成は見事です。

本作が発行されたのが2009年。少々情報が古いのが難点ですが,それを補って余りあるほど,マカオ独特の文化,歴史,地理,習慣,恋愛事情,家族感,中国との関係……などを理解する上でも,とても参考になるエッセイです。

実は,筆者も東南アジアといえば,年2回も訪れるほどバンコク好きだったのですが,あるときから「マカオ」の虜になり,幾度となく訪れているほどマカオは魅力に溢れた土地です(ギャンブルは全くしませんが)。

ああ!コロナが収まったら,絶対またマカオに行こうっと。

推薦者
小林美也子

Kobayashi miyako

教育&映画プロデューサー

漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画制作にも関わる。