経済学はカネを考える学問じゃない。人間を考える学問だ~加茂教授に学ぶ「カモリズム」講座開講!
「カモのネギには毒がある-加茂教授の人間経済学講義-」(1)<既刊4巻> |
博覧強記!博学鬼才!
ソムリエにプロ野球,麻雀,競馬,そして歴史と,あきれるほど多分野の作品を手がけてこられた甲斐谷忍先生が,夏原武氏(『正直不動産』原案、『クロサギ』原作)とタッグを組んだ経済漫画。
実家が悪徳ファンドに資産を巻き上げられ,大学中退を余儀なくされた2年の名取美咲。
橋のたもとで小汚いホームレスに声を掛けられた。
なんと,彼は大学一の変人かつ「カモリズム」経済理論※が世界的に評価されている天才経済学者・加茂洋平だった。
※「カモリズム」の「カモ」は「鴨が葱背負ってくる」の「カモ」(=だまされるヤツ)。今の経済は「カモを」見つけて育ててそこから金をむしり取るのが主流。彼はこれを「カモリズム」と名付けた。
彼の口癖は「この世で一番役に立たない職業は経済学者である」。
なので,「経済は経済学者から学ぶものじゃない」の理由で講義はほぼ休講。
加茂先生のモットーは
◉経済学者なんてほぼクソ
◉経済学は経済学者に学ぶものじゃない。社会と庶民から学ぶもの
◉「カモリズム行動経済論」は「カモる人」「カモられる人」から学ぶもの
悪徳ファンドでなけなしの財産を巻き上げられた名取美咲の両親
大学に蔓延る「“新型”マルチ商法」に絡め取られた学生たち
更には究極のマルチ商法といえる悪質な新興宗教に洗脳された信者たち
過疎化が進んだかつての振興住宅街で新手のビジネスにより不動産を巻き上げられた高齢者たち
本当の被害者救済は,奪われた金を取り戻すこと。
“フィールドワーク”と称して様々な姿に成りすます加茂教授が,5億円なんてはした金と言えるほどの巨万の富と幅広いネットワークを駆使しして,奪われた金を取り戻していく。
ある種のヒーローものではあるけども,現代社会の抱える闇を扱い,経済や社会の仕組みのお勉強もさせてくれつつ,ある種のカタルシスを感じさせる,最強のエンターテイメントに仕上げてくれる手腕は圧巻。
そして最新話のフィールドワーク先は……
世界5位の富裕国の先進国から貧困国に転落したアルゼンチン。
アルゼンチンの今の姿は20年後の日本の姿だ。
そんな教授の言葉に驚愕する名取美咲に加茂教授は課題を出す。
「日本がアルゼンチンのようにならないために何をすればいいのか考えてみよう!!」
加茂教授は,カモにされる日本国民を救済する方法を我々に導いてくれるのか?
グランドジャンプにて連載中。コミックス4巻まで刊行。
1話目は無料配信中。
http://grandjump.shueisha.co.jp/original/kamonegi/
エンタテイメントを楽しみつつ,経済と社会のお勉強ができるお得な本作。
これから社会に出る若者たちのみならず,「カモネギ」にならぬよう武装するために必見。
最後に。
甲斐谷忍先生,鴨川つばめ先生の影響受けているのではないか?と思うのは私だけでしょうか???
推薦者 Kobayashi miyako |
教育&映画・演劇プロデューサー 漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画・舞台制作にも関わる。 |