「ちはるさんの娘」西炯子

〜ようやく完結です!〜

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「ちはるさんの娘」(1)<全4巻>
西炯子/双葉社(アクションコミックス)

2回目のおすすめとなります、西炯子先生です。
こちらの作品は4コマ漫画でお話が進んでいくタイプ。
2007年から月刊誌で不定期連載の4コマ漫画なので、全4巻ですが単行本の出る間隔は結構長く、「ようやく終わったんだ!」という印象です。

こちらもいつもの美男美女の出る西作品とは違って、コミカルなキャラクターが多めとなっています。
その分それぞれのキャラクターが生きているというか、濃いというか、短い4コマを追っていく4巻の間に、どのキャラクターもみんな好きになっていきます。

主人公「ちはるさんの娘」こと五十嵐ちなつさん(38)は、バツイチの人気ミステリー作家です。
夫と死別した母ちはるさん(80)が営む洋裁店の近くのマンションで一人暮らしをしています。

ちはるさんになにかと世話を焼かれつつ、アラフォーの独身女性の生き様を……と思いきや、
隙あらば娘ちなつさんのコイバナを発生させようとする母ちはるさんの奮闘の記録ともいえる漫画です。
となると主人公はちなつさんでありちはるさんでもありそうです。

一回りも下の担当編集者(男)、別れた十何歳か年上の元夫(男)、担当編集者の後輩の編集者(女)、たからづかの俳優さん(女)
……候補者(?)はいろいろいますし、それぞれにライバル的な人もちらほらと出てきます。
ちはるさんたちが暮らす商店街の人々、ちなつさんの兄と姉、たった4巻とは思えないほどいろいろな人が出てくるのもこの作品の魅力のひとつです。

そう、ちなつさんはちはるさんの一男二女の末っ子ですので、お兄さんは50代と思えば、ちはるさんの80歳というお年は不思議ではないのですが、ちょっとお年のお母さんですよね。

しかし、このちはるさんが若い!
現役で洋装店を続けており、同世代のお友達と「たからづか」(※宝束というほぼ宝塚の歌劇団です)を見に行き、小学生とコイバナをし、若奥様たちとヒーローショーを見に行くバイタリティがあります。

そんな元気な母ちはるさんに振り回されるちなつさんを見てフフフと笑っていると、急に母の娘を思う気持ちを見せられ、気づくと泣いてる、みたいな良い意味でだまし討ちされてしまいます。

再婚して幸せになってほしいなと思う母の気持ち、たぶん本当は別に再婚なんてしなくても良いんですが、今のちなつさんが幸せになってないから、幸せになるんだったら何でもいいんだけどね、というちはるさんのの気持ちが嬉しい。読んでる私も嬉しい。

結局、ちなつさんは再婚するのですが、お相手はあの人。
改めて見てみると、ちはるさんにそっくりな人です。
ちなつさんもちはるさんも末長くお幸せにね、とほっこりする漫画、オススメです。

推薦者
中村文

Nakamura aya

ギャラリーカフェオーナー

大磯のギャラリーカフェ「At GALLERY N’CAFE」オーナー。画家・イラストレーターのたかしまてつをアシスタント、DTPデザイナーなどもやってます。幻冬舎プラスで連載していた、お店をオープンするまでの連載が電子書籍『お店、はじめました。~40歳未経験のカフェオープン~』になりました。