〜かつて「恐怖漫画」は少女漫画雑誌の必須カテゴリーだった……〜
「私たちが震えた 少女ホラー漫画」 |
「猿少女」 |
先月発売されたばかりの新刊書をご紹介します。
その名も「私たちが震えたホラー漫画」。
そうです,過去形です。
1970年〜1990年代,百花繚乱の感のあった漫画雑誌たち。
少女フレンドもマーガレットも週刊誌でした。
そして,スポ根,恋愛に並ぶ必須カテゴリーのひとつが,恐怖漫画(当時はホラー漫画とは言わなかった)でした。
週刊少女フレンドを愛読していた筆者は,楳図かずお先生の「へび」「猫」の絡むこわ〜〜〜い漫画のページが目に入らないように細心の注意をはらいつつページをめくって,大和和紀先生や,里中満智子先生,細川智恵栄子先生の作品を探したものです。
でも,結局は読むんです。へびが,ねこが,少女が……
こ・れ・が,めっちゃくっちゃに怖かった。
夜中にトイレには行けません。夢にも出てきます。
しばらくトラウマになりました。
じゃあ,大人になった今なら,冷静に恐怖漫画が読めるかって?
いえいえ,やっぱり古賀新一先生の『猿少女』なんて,怖くて読めません……でも読みたいw
『花とゆめ』(1974年創刊)では魔夜峰央先生は,のちの『パタリロ!』『翔んで埼玉』の作者と同一人物とは信じがたいゴシック・ホラーを書かれていました。
そんな1970年代から2000年代にかけてのホラー漫画の名作たちを,イラスト,コラム,インタビューを交えて紹介しているのが本誌です。
前半は,少女漫画誌やホラー漫画専門少女誌で活躍した漫画家と作品を紹介,多くの作家インタビュー,座談会も合わせて掲載されています。
大御所・大レジェンドわたなべまさこ先生をはじめ,篠原千絵,あしべゆうほ,きたがわ翔,三原順,忠津陽子,ささやななえこ,今市子,吉川うたた,イケスミチエコ(敬称略)……と少女ホラー漫画家の全容を紹介しています(作品の試し読みも時々ついています)。
さらに,後半では,ホラー漫画マニアで有名な釘書房の編集長,緑の五寸釘さんの選ぶ昭和〜平成 極上トラウマホラー傑作選,3本の未単行本化短編(犬木加奈子『三途の川』,葉月シモン『一枚の絵』,石上愛実『シャボン玉幸子さん』)を掲載という豪華さです!
※内容の詳細を知りたい方は,Amazonの本誌紹介ページをご覧ください。
酷暑の深夜,懐かしき少女ホラー漫画たちへの思いを馳せつつ,かつての恐怖を思いだすのも一興ではないでしょうか。 内容充実コスパ抜群の一冊です。
推薦者 Kobayashi miyako |
教育&映画プロデューサー 漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画制作にも関わる。 |