演劇「マンザナ,わが町」創造ユニットTaiyo

大戦中,アメリカの日系人強制収容所で自由と平等を勝ち取るために戦った日系人女性の物語

マンザナ,わが町icon

「マンザナ,わが町」
公演日:2024年5月15日(水)~19日(日)
作:井上ひさし
演出:剣持直明(劇団だるま座)
出演:豊田薫,寿美とも子,田中淳子,竹内しのぶ,小池恵子,鎌野紗惠子,石井春花,結城水月, 菊池友華,千依
製作:創造ユニットTaiyo

◆マンザナ強制収容所とは

「強制収容所」と聞くと,ナチスドイツのゲットー,旧ソヴィエト連邦のラーゲリ,そこでの過酷な生活,陵辱,虐待……を思い浮かべるのではないだろうか?

しかし,アメリカにも強制収容所はあった。

アメリカ合衆国カリフォルニア州オーウェン郡マンザナにあった日系人強制収容所は全米約10ヶ所もあった強制収容所のなかでも最大規模のものだった。

真珠湾攻撃の翌年1942年2月19日。ルーズベルト大統領による大統領令9066号により西海岸に住む11万9,802人(その3分の2はアメリカ市民)もの日系アメリカ人が,突然財産や名誉を奪われ,市民権を持っていた者も含め「敵国日本の血を引く」という差別的理由だけで強制収容された(ドイツ系アメリカ人やイタリア系アメリカ人はこのような仕打ちを受けることはなかった)。

◆井上ひさしの想い

しかし,『マンザナ,わが町』の作者・井上ひさしは,当時のアメリカ政府を非難するために本作を書いたのではない。

むしろ,アイロニカルに,アメリカ政府を誉めたたえ,日本政府への自戒の念をしたためているのだ。

1988年(昭和63年),レーガン大統領が強制収容に対して正式に謝罪を行い,米国政府は1人あたり2万ドルの補償金と教育基金12億5千万ドルを支払うことになった。

井上ひさしは,このニュースを聞いて『マンザナ,わが町』を発想したという。

アメリカは謝り方が上手だな。対して,わが祖国は「戦後補償は終わったはず」「経済援助をしている」とぶつぶつ言うのみで,土足で踏み込んだ国々に対して正式な謝罪をすませていない。

こんなことで周囲の国々がこの先も私たちの国とまともに付き合ってくれるのだろうか。
もっと爽やかな謝り方のできる存在になりたい。

そんな思いに駆り立てられて,本作は書かれた。

加えて2021年にも,ジョー・バイデン大統領は正式な謝罪を再表明した。

ネットもない時代に,40年代アのメリカの強制収容所に関する情報や,当時の日系アメリカ人たちの生活ぶりをつぶさに描き,なによりも女性(登場人物は5人の女性のみ)の気持ちが細やかに描かれていることに脱帽だ。

◆『マンザナ,わが町』の舞台について

そんな『マンザナ,わが町』を,平均年齢65歳のマダムたちが立ち上げた演劇集団「創造ユニットTaiyo」の旗揚げ公演として下北沢で上演することになった。

【あらすじ】

真珠湾攻撃の翌年1942年3月下旬,マンザナ強制収容所の一室に集められた5人の女性に,奇妙なプロパガンダ劇『マンザナ、わが町』の上演が命じられる。

「ここマンザナは強制収容所ではなく,住民の自治で運営される素晴らしい町なのだ」と住民たちに宣伝しろというわけだ。

強制収容は合衆国憲法違反だから撤廃されるはずとアメリカの良心を信じるジャーナリスト・ソフィア岡崎,アメリカのことなんてハナから信用していない風の日系1世の女浪曲師・オトメ天津,へんちくりんな日本語を話すどこか挙動不審なマジシャン・サチコ斉藤,自分はアメリカ生まれのアメリカ市民と純粋に信じているシンガー・リリアン竹内,人種差別的な脚本を嫌悪して役を降りたハリウッド女優・ジョイス立花。

出自も経歴もバラバラな彼女らが,人種差別を語るうちにアメリカへの信頼をめぐって激しく対立し始める。

はたして,『マンザナ,わが町』は上演できるのか?日系人である彼女たちの運命は?

【キャスト】

ダブルキャストでお届けします。

チームメロンは,創造ユニットTaiyoの創立メンバーに寿美とも子が参加した平均年齢67歳の面々。

森下洋子は「ジゼルは16歳だけど,若い頃には演じることができなかった」と語るように,人生経験が役柄に深みと趣を持たせている。

彼女たちの背中を追うのは,映画,テレビ,舞台で活躍中の若手女優陣のチームりんご。

今,『マンザナ…』の役に当たることは彼女たちの女優としての人生の財産になること間違いなし。

・チームメロン

豊田薫,寿美とも子,田中淳子,竹内しのぶ,小池恵子
・チームりんご

鎌野紗惠子,石井春花,結城水月,菊池友華,千依

【スケジュール】
5月15日(水) 18:00(りんご)

5月16日(木) 13:00(メロン) 18:00(りんご)

5月17日(金) 13:00(りんご) 18:00(メロン)

5月18日(土) 12:00(メロン) 17:00(りんご)

5月19日(日) 11:00(メロン) 16:00(りんご)

※受付開始・開場は開演時刻の30分前からです。

【チケット】(消費財税込・全席指定)

一般:4,800円

リピーター割:4,500円

◆2度目以降のご観劇の際には,当日会場でチケット半券をご提示ください。リーピーター割料金でご観劇いただけます。

※リピーター割は半券ご利用のご本人のみに限らせていただきます。

【チケット予約】

コリッチ舞台芸術 https://ticket.corich.jp/apply/313166/

【劇場】下北沢シアター711

東京都世田谷区北沢1-45-15

TEL:03-3469-9711

●京王井の頭線「下北沢」 中央口改札より徒歩約8分

●小田急線「下北沢」 東口改札より徒歩約8分

【創造ユニットTaiyoとは】

2022年に小池恵子、竹内しのぶ、田中淳子、豊田薫の平均年齢65.5歳の4人が立ち上げた演劇集団。

仕事に家事,育児,父母・義父母の介護に看取り……怒涛の人生も半世紀越え。だからこそ,舞台への情熱は冷めるどころか勢いを増す。そりゃ身体にガタもくる。だけど,そんなこんなもそっくりそのまま役者としての深みと味わいと開き直り,きっとどこにもない舞台を創りだせるはず。とういうわけで,演劇のメッカ下北沢で旗揚げ公演。

人生楽しまなきゃ,楽しませなきゃ――だって,私たちは原始太陽だったんだから。

推薦者
小林美也子

Kobayashi miyako

教育&映画・演劇プロデューサー

漫画と映画で人生を学び,現在は各地で法律を教えつつ映画・舞台制作にも関わる。

『演劇「マンザナ,わが町」創造ユニットTaiyo』へのコメント

  1. 名前:石塚一昭より 投稿日:2024/05/13(月) 14:42:44 ID:f016ddc49 返信

    16日は楽しみにしています
    登場演出5名の公演で強制刑務所の
    戦いや仕打ちの演技を楽しみにして
    いますので😆がんばってください
    😆👍❤️